ネタバレありの映画鑑賞記録です。ネタバレの嫌いな方はご注意下さい。
映画が中心ですが、一部演劇、ミュージカルもあります。

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モナリザ・スマイル
今日はレディース・ディなので、映画を。
昨日も恵比寿で映画を見たばかりなのに、本当に贅沢よね(笑)

今日観たのは、“モナリザ・スマイル”
1950年代のアメリカの女子大を舞台とし、ヒラリー・クリントンの自伝「リビング・ヒストリー」をベースにしたというこの映画は、結婚こそが女性の幸せ、と言われていた時代に、自立することを教え、教育方針を変えようとする女性教師との葛藤の姿を描いている。

1953年の秋、キャサリン・ワトソン(ジュリア・ロバーツ)はニューイングランドの名門女子大のウェルズリー大学に美術史助教授として赴任する。
ウェルズリー大学は、オックスフォード大学に劣らない名門でありながら、“米国一保守的”という評判を持つ女子大。
先輩教師は、学生にとって最も重要で価値あるものは、教育や自立心よりもエリートの恋人からもらう婚約指輪と言う。
最初の授業の日、“教科書を全て予習してきた”と生徒全員がキャサリンをボイコット。
大学もキャサリンの教育方針を支持せず、四面楚歌とも言えるような厳しい現実に悩むが、芸術を自分の目で見、考え感じることを教える彼女の授業は、次第に生徒たちの心を掴んでいく。


ストーリーとしては、キャサリン自身の恋愛や仕事の悩みと言うより、学生との関わりに重点が置かれている。
母親の勧めるまま学生結婚する優等生のベティ(キルステン・ダンスト )は、キャサリンに反発しながらも、結局は自ら愛の無い結婚生活に終止符を打って、自立の道を選ぶ。
ベティの親友のジョーン(ジュリア・スタイルズ)はイェール大学に進み弁護士になるという夢を持ち、イェール大の法学部に合格するが、愛する人と結婚し、彼を支え共に生きる事を選ぶ。
コンプレックスの塊で内気なコニー(ジニファー・グッドウィン)の恋も微笑ましい。
そして何より魅力的なのが、恋愛に自由奔放でありながら心の底で恋愛に傷ついているジゼル(マギー・ギレンホール)。
ジゼルは、女性としてキャサリンに憧れ、映画では充分に描かれていなかったけれど、キャサリンを手本にこれから強く生きていくだろう事を伺わせる。

恋人のビルからは“自分の価値観を他人に押し付ける”と言われたけれど、キャサリンの生き方、価値観は押し付けではなく学生に根付いていく。
それは、ジョーンが結婚式の日にキャサリンに言った、“これが私が決めた『私の生き方』です”と言った言葉に表れる。
弁護士になると言う選択肢もあったけれど、結婚して専業主婦になると言う一見古い価値観に捕らわれた選択も“自分の意思”と。
今までと違う事をするだけが、“自分の意思”ではない。
自分で考え、選んだ事であれば、それが“自分の意思”。
キャサリンがそれを素直に受け入れられなかったのは、自身が教え、理想とする“既成の価値観や固定観念に囚われることなく、自分の心の目で物事を見る”とはちょっと違う気がしたけどね(笑)
むしろ、キャサリンの方が、完全には既成概念から解放されていない感じがした。


ウェルズリー大学は、ヒラリー・クリントンの母校。
映画を観ると、あれ程の自我の強い女性が出た学校とは思えない程ウェルズリー大学は保守的。
学問を追及すると言うより、所謂花嫁学校。
上司夫妻を自宅に招いた時のもてなしの仕方などを、作法・礼儀として教えるような学校だ。
私は、ヒラリーの「リビング・ヒストリー」は読んでいないが、映画の解説に拠るとヒラリーが入学した頃は“「良妻賢母」になることが女性の務め”と言う教育していた大学だったが、卒業する頃には、“女性も自立が大事”と言うようになったらしい。

“結婚して家庭を守ることが唯一の女性の幸せ”。。。
ヒラリーが大学生の頃と言えば、1960年代。
日本ではどうだったかと言うと、丁度私が大学生の頃(1980年代前半)もそんな時代だった。
実際、“良妻賢母を育てる”を学校の教育方針としている女子大も多かったし、“4年も学校に行くなんて智恵が付きすぎて女性として可愛くない”と4年生大学に通う女性を公然と貶める事を言う人も居た。
就職も同様で、女性の就職は結婚までの暇つぶしか、結婚相手を探しに行くためのものだった。
就職して配属が決まった時の人事の担当者の言葉は、“此処は若い男性社員が多いから、2、3年頑張って、いい相手を見つけてください”だった。

でもその時代はまた、そういう価値観が唯一ではなくて、女性の多様な生き方が認められかけ始めた時代だった。
私自身は、配属された職場がおおらかな所で、いい意味では“女性だから”と“女性であっても”を使い分けている所だったから、就職した後に“女性の自立”に関してジレンマを感じる事は少なかった。
それでも、私と付き合う男性は大変だったようで、“仕事か自分か”と言う人も居たけどね。
そういった意味で、私は映画に出てくる学生たち、そして“今”を変えようともがくキャサリンに感情移入が出来てしまう。

この映画は、女性の多様な生き方が当たり前になってきている今に生きる若い人には感情移入は難しいかもしれない。
でも、私と同年代、1980年代前半に大学生活を過ごした女性なら、誰しもが通った道なのではないかと思う。
静かだったけど、いい映画だった。
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